FXの場合、取引開始から終了までの時間は比較的短いです。日足を使ったスイングトレードだったら、ポジション保有期間は1日~数週間といったところでしょう。では、アンティークコインの場合はどうでしょうか。今回は、アンティークコインを投資としてとらえる場合の保有期間を考察します。
先に結論を書いてしまえば、基本的に年単位の保有になりますが、数か月~1年未満という短期間の方法もあります。
アンティークコインの保有期間は年単位
FXで短期間の取引が可能な理由は、流動性が極めて高いうえにスプレッドや手数料が小さいからです。それに比べて、アンティークコインや不動産といった実物資産は、値動きがゆっくりですしFXほどには参加者が多くありません。このため、基本的に短期売買に向かない投資先です。
では、保有期間はどれくらいか?ですが、10年を一応の目途としつつ年単位で考えるのが一般的でしょう。それくらい長期で考えますから、FXよりも株式の長期保有のイメージの方が近いです。
その間、価格が徐々に上昇するのを待ちます。過去10年、20年と価格が上昇し続けたコインを保有してその値動きが継続すれば、いつの間にか価格が2倍になっていた、という結果になります。
仮に価格が下落する場面があっても、そのまま保管し続けて価格が上昇するのを待ちます。不動産と違って、保有するだけだったら税金はかかりません。また、金属ですから、アート投資のように保管の条件を厳しく設定する必要もありませんし、机の中に置いておくだけでOKです。
なお、これだけ長期間になりますと、保有期間中に社会・経済・政治が劇的に変動する可能性がありますが、金貨や銀貨は大混乱期にこそ重宝します。なぜなら、アンティークコインは国の信用を必要とせずに価値を持ちますし、持ち運びが簡単だからです(不動産やアートは難しいでしょう)。
業者がこの点を煽って売ろうと考える場合、「日本が傾いて円がハイパーインフレになる場合に備えて金貨を保有しましょう!」となるわけですが、そこまで極端でなくても、自分の資産を複数に分散しておくのは資産防衛の観点から効果的です。
短期で稼ぎたい!という場合
FXでは、短期になればなるほど難易度が上昇します。例えば、損益に対するスプレッドの比率が上昇しますから、スイングトレードの場合に比べてスプレッドに敏感にならざるを得ないですし、取引タイミングも難しくなります(スイングトレードなら、コーヒーでも飲みながらゆっくりクリックできます)。
アンティークコインでも同様で、短期売買は技術とある程度の運勢が必要で難易度が上昇します。ここでは、短期転売で稼ぐ方法をご案内します。
短期売買その1:オークション&転売
まず、個人間売買での取引価格と、実勢相場に乖離が生じているコインを探します(この時点で既に大変ですが)。そして狙いをつけたら、相場価格の範囲内でできるだけ安い価格で落札できるよう、オークションで頑張ります。こうして期待通りに落札できたら、個人間売買サイト等に出品します。
この方法は、個人間売買サイトで実際に買ってくれる人が必要ですから、多少の運がいります。
短期売買その2:裸コインを買ってスラブに入れる
裸コインとは、スラブに入っていないコインのことです。オークションの結果を見ると興味深いことがあり、全く同じ種類でグレードも全く同じというコインが2枚あったとして、一方は裸コイン、もう一つはスラブ入りだとしますと、価格はスラブ入りの方が20%~100%くらい高額になる傾向があります。
全く同じコインなのにこんな差が出るのはおかしなことですが、どちらが個人向けに転売しやすいか?を反映していると予想できます。
すなわち、裸コインは落とすと傷がつきますし、経験がないとグレードも良く分かりませんが、スラブ入りなら傷はつかず、グレードも書いてあります。そして、個人間売買サイト等では、スラブ入りだけを扱うことがあります(サイト運営者にとっても管理等でスラブ入りは楽なのです)。
そこで、価値ある裸コインを買ってスラブに入れて転売する方法があります。ただし、スラブに入れるにはいくらかコストがかかりますし、4か月~6か月程度の時間が必要です。その間にコインの人気に多少の変動があると、売値に影響する可能性があります。
また、前回の記事「アンティークコインの魅力と有望なコイン」でご案内しました通り、自分が認識しているグレードとスラブに記載されたグレードが大きく異なる場合があります。期待よりもずっと低いグレードで返ってきた場合、期待通りの価格で売れないことになりますから、この方法も多少の運が必要です。
短期売買その3:(株)ダルマで安いコインを探す
上の方法に関連しますが、コインのグレードは低いはずなのに、なぜか鑑定会社で高い評価をされてしまったコインというのも存在します。そこで、(株)ダルマでそのようなコインを買います。(株)ダルマは自社の鑑定評価で価格を付けますので、鑑定会社の評価の割に安価なコインを買うことが可能です。
このコインを買って、鑑定会社の評価グレードで転売します(高値で売れます)。この方法が最も簡単かつ確実と予想できますが、そのようなコインはいつでも見つかるというわけでなく、見つけたらとてもラッキーくらいの感じであり、これをメインに据えるのは難しいです。
短期売買その4:鑑定会社の評価よりも価値あるコインを買う
こちらは上の方法の逆で、本当は素晴らしいはずなのに、なぜか鑑定会社で低い評価をされてしまったコインを探して買います。一般的にはスラブに表記された価格で売買されますから、そのような素晴らしいコインも安く売られることになります。
そのようなコインを買ったら、スラブを破壊して再鑑定に出し、いい感じの評価をもらって転売します。すると、グレードが上昇した分だけ価格が上がるというカラクリです。
ただし、これを実行するにはコインを見る目が必要ですから高い経験値が必要ですし、そのようなコインはいつでも見つかるというわけでなく、見つけたらとてもラッキーくらいの感じですから、これもまたメインに据えるのは難しいです。
まとめ:長期保有を軸にする
以上、長期投資と短期売買(転売)を比較しました。取り組みやすいのは長期ですから、自分の好みのコインを選んで買って保管するのが軸になります。
そして、時々コインを取り出して眺めていると、だんだん愛着がわいてきます。そのコインが発行された時代や国への関心も高まり、自然と歴史の知識も身についてきますから、アンティークコイン投資はお金儲け以外の価値があるのがメリットです。
一方、短期売買は知識・労力・ある程度の運が必要ですので、片手間に実行するのは難しく、コインを見た時にグレードを判断できる能力が欲しいです。
なお、グレードを判断する能力ですが、全てのコインについて鑑定能力を身に着ける必要はありません。自分が好きなコインに絞って何枚ものコインを繰り返し見ると、自然と鑑定能力が身についてきます。