02.アンティークコインの価格

アンティークコインの価格ですが、コレクションならば自分が好きな分野を買えば良し、教育目的だったら苦手分野の安いコインを買えば良しで、価格はやや脇役です。

そこで、投資としてのアンティークコインに絞って見ていきます。

コインの価値と値動き

コインは、金・銀・銅などから作られています。
その中でも金銀は貴金属ですから、素材自体に価値があります。では、金銀の相場価格はどうなっているか?ですが、2021年4月時点で概ね以下の通りです。

• 金:1gあたり6,000円台
• 銀:1gあたり100円台

さすが、貴金属という名前だけあってとても高価です。そして、金は銀よりも圧倒的に高価だということも分かります。

さて、ここにある金貨があるとしましょう。その金貨は金100%で作られており、重量は10gで価格は7万円だとします。この金貨の場合、その価値のほとんどは地金の価値だと分かります。
(1gあたり6,000円台)×10g=6万円台

コインの価値を分解

このアンティークコインの価格を分解すると、2つに分けられます。

アンティークコインの価値

• 地金の価値
• その他の価値

その他の価値とは、例えば希少性(昔のコインで残存数が少ない)、グレードが高い(傷がほとんど無い)、人気のデザインである…といった内容です。

そして、コインの価値に占める地金の割合が大きい金貨を、「地金型金貨」と呼びます(同様に、 コインの価値に占める地金の割合が大きい銀貨を、「地金型銀貨」と呼びます)。

地金型金貨・銀貨の値動き

地金型金貨や地金型銀貨は、その価値のほとんどが素材価値に依存しています。ということは、金相場が上昇すればコイン価格も上昇しますし、逆に金相場が下落すれば、コイン価格も下落します。

下は、金相場のチャートです(三菱マテリアルから引用)。1979年以降のチャートですが、2021年4月時点で過去最高値水準になっていることが分かります。

すなわち、地金型金貨の価格も、過去最高値付近にあります。今後も金価格が上昇すると予想するなら、地金型金貨の購入が選択肢になります。

下は、銀相場の推移です。1985年以降が表示されており、2021年4月時点の価格は過去最高値とは言えませんがそれに近いと分かります。

こちらも、銀価格が今後も上昇すると読むなら、地金型銀貨の購入が選択肢になります。

 

地金型「でない」金貨の値動き

では、地金型でない金貨の値動きはどうなっているでしょうか。地金型でないとは、例えば、金の重量は5g(=3万円)だけれど価格は500万円するといった場合です。

この場合、地金部分の価値はコイン価値の0.6%しかありません。このような価値あるコインの値動きは、金相場と関係なく動きます。

そして過去の推移を見る限り、世界経済が好景気だろうと不景気だろうとお構いなく、価格はひたすら上昇を続けてきました。

なぜなら、貴重なコインの場合、そもそも現代社会に存在すること自体に価値があるからです。それだけの希少性があるコインが欲しいという人は、世の中に数多くいますが、希少ですから買いたくても買えません。

その希少なコインを持っている人が、たまたま現金が必要になって放出するとしましょう。すると、そのコインを買いたかった人は「待ってました!」とばかりに集合します。

これでは、価格は下がりようがありません。

過去の推移を見る限り、株価や債券価格の値動きと関係なく、アンティークコイン独自の値動きをしてきました。このため、株価や債券価格が下落する時にも資産を安全に確保したいという場合などに、アンティークコインが選択肢となります。
(ただし、この値動きは将来も同様だと断定するわけではありません。)

 

バブル的な高値に注意

なお、バブル的な高値になっているコインに対しては、特に注意が必要でしょう。

そのようなコインは過去からジワジワと価格が上昇したのではなく、相場の雰囲気で跳ね上がって高騰しているのですから、反動で暴落する可能性を否定できません。

そこで、高価なコインを買う場合は、過去からの価格推移も併せて確認する必要があるでしょう。

 


グレード

もう一つ、コイン価格に大きな影響力を持っている項目があります。それは「グレード」です。

グレードとは、「そのコインは発行当時の姿をどれほど維持しているか?」を知るための指標です。もちろん、発行当初の姿を維持しているほど希少性が高く、高価になります。

グレードをざっくりと解説しますと、以下の通りです(イメージ重視のぼんやり解説)。

• 完全未使用(FDC):未使用の中でも、特に状態が良い。
• 未使用(UNC):流通の痕跡がない(流通前についた傷あり)。
• 準未使用(AU):流通の痕跡はごくわずか。
• 極美品(EF):デザイン全体の大半が残っている。
• 美品(VF):極美品よりは傷や摩耗が多い。
• 並品(F):デザイン全体の半分くらいが残っている。
• 劣品(G):デザイン全体の多くが失われている。

モダンコインなら、FDCやUNCがコレクションの対象になります。その一方、存在自体が貴重だというコインの場合は、FDCやUNCにこだわることはできず、VFあたりでも飛びぬけて高額になります。

また、価格上昇曲線ですが、グレードが高くなればなるほど、価格上昇が急激になります。下のグラフはイメージ図です。

グレードが上昇すると価格も次第に上昇するのですが、最高水準に近づくと、いきなり価格がピョンと飛ぶ様子を示しています。
よって、何か欲しいコインが見つかったら、自分が準備できる予算とも相談しつつ、どのグレードのコインを買うかを考えます。

スラブ入りコイン

グレードに関連し、スラブの解説が必要でしょう。スラブとは、コイン保管用のプラスチックケースを指します(下の画像は(株)ダルマから引用)。

スラブ入りなら、保管中にコインに傷がついて価値が落ちてしまうリスクを避けられます。また、スラブ上部にはコインの種類やグレードが書いてあり、とても分かりやすいです。

よって、特に投資としてアンティークコインを考える人々から、大きな人気を集めています。

人気を集めるとはすなわち、価格が高くなりがちだという意味でもあります。具体的には、全く同じ種類のコインでグレードも同一であっても、スラブに入っているというだけで価格が高くなる傾向があります。

よって、スラブに入っていないコインを購入し、鑑定会社でスラブに入れてもらってから転売するという方法も可能です。

なお、スラブに入れるのは有料ですし、4か月程度以上の時間がかかります。また、スラブに書かれているグレードは「鑑定会社の意見に過ぎない」という点にも注意が必要です。

 


 

人気のコイン

では、希少性が高くてグレードも高ければ高値になるか?ですが、そうだと断定できません。不人気なコインは、希少性やグレードが高くても比較的安値ですし、買い手もつきづらいです。

そこで、投資という視点で考える場合、一般的には、人気があるアンティークコインを探して買うことになるのでしょう。

なお、どのコインが人気か?を断定的に書くのは困難ですが、概ね下の通りと言えるでしょう。

人気なアンティークコイン

• イギリスのコインが圧倒的人気で、ドイツやイタリアなどがそれに続く
• 18世紀~19世紀発行のコインの人気が高い
• (銀貨や銅貨よりも)金貨に人気が集まる

日本のアンティークコイン

では、日本のアンティークコイン、たとえば小判の人気はどうでしょうか。残念ながら、世界的な視点で見ると小判は人気とは言い難いです。
理由は、デザインを見ると分かります。下は慶長小判金(1601年~1695年発行)です。

 

そして、下は享保小判金(1714年~1736年発行)です。

一見しただけでは、差が分かりませんね。

日本で育っていれば、慶長小判金なら「徳川家康や家光の頃の小判か!」、そして享保小判金なら「徳川吉宗か!」という感じで興味関心が湧いてきますが、外国人でも興味が湧くか?と言えば疑問でしょう。

というわけで、市場はどうしても日本に限られがちです。このため、積極的な価格上昇で利益を狙いたい場合には、小判は買いづらいです。

ただし、明治時代に発行された「旧20円金貨」は別格で、世界のコレクターからの視線を集めており、高値がついています(数百万円~1,000万円超)。