15.ロールオーバーとは

未決済ポジションの決済日を先延ばしすることです。

FX取引は、直物為替(じきものかわせ)を使用しており、
直物為替のルールに、原則、通貨を売買した日から(約定日)から2営業日後に現物(外貨)の受け渡しをするというルールがあります。

直物為替は、「直物取引(じきものとりひき)」や「スポット取引」とも呼ばれます。

ドル/円を買った場合、2営業日後に現物(外貨)の受け渡しとなりますので、2営業日を超えてポジションを保有したい場合は、ドル/円の買いを保有し続ける限り、受け渡し日までに、売り決済して、新たに買い直すという、この一連の売買を繰り返さなければなりません。

つまり、
「買い」→「売り決済」→「買い直し」→「売り決済」→「買い直し」・・・
ということです。

しかし、FX取引は、為替収益やスワップポイントで利益を得ることが目的ですので、いちいちそのようなめんどくさいことはしたくありません。

そこで、自動で、「買い(売り)」→「売り(買い)決済」→「買い(売り)直し」→「売り(買い)決済」→「買い(売り)直し」・・・という処理が行われ、
スワップポイントのみを授受し、決済するまで受け渡し日を自動的に2営業日先送りする仕組みが考案されました。

この仕組みを「ロールオーバー方式」と呼んでいます。

原則としてロールオーバーの処理はNY市場が終わる時間の、東部標準時の17時で行なわれます。

日本時間にすると、冬時間の時は朝7時、夏時間の時は朝6時にロールオーバー処理されます。

ロールオーバー処理をする時間帯は、取引会社によっては5分から30分程度、取引ができない場合もあります。

冬時間・夏時間の切り替えは下記になります。

夏時間:3月第2日曜日
冬時間:11月第1日曜日

通常、FX取引業者でポジションを保有した場合、
トレード画面に表示されている保有ポジション価格は数日経過しても、買った(売った)時の価格が表示されていることがほとんどです。

しかし、前述の説明の通り、実際には内部で「新規買い(売り)」→「売り(買い)決済」→スワップの授受→「買い(売り)直し」→「売り(買い)決済」→スワップの授受→「買い(売り)直し」・・・
という処理が行われているということを覚えておいてください。

ロールオーバー方式ではなく、値洗い方式を採用されている取引会社の場合、
買った(売った)価格がロールオーバー時の価格で一度、決済され、スワップの授受が行われた後に、決済された価格と同じ価格でポジションが建て直されます。

値洗い方式の場合は、ロールオーバーの度にポジションが決済され、その都度、損益が確定し、ポジションの建値表示がロールオーバー時の価格に切り替わりますが、実質的な証拠金残高は変わりません。