アンティークコインとは
アンティークコインとは、発行後100年程度以上経過したコイン(=貨幣)全般を指します。それより新しいコインは「モダンコイン」と呼ばれます。
さて、世界最古のコインは何でしょうか。存在が確認されている範囲で最も古いのは、リディア(現在のトルコ)で作られたコインです(下の画像は SIX BID からの引用で、最古のコインよりも少し新しいものです)。
上のコインは紀元前500年代に作られたもので、左側が表で右側が裏です。表側デザインは左側にライオン・右側は牡牛という構図で、これらはいずれも強さの象徴でした。
今から2,500年以上も前のコインが、今もなお美しいままで残っています。
特に金(きん)は希少な上に輝きが美しく、時間が経過しても美しさを維持しますので、太古の昔から富の象徴として重宝されました。
アンティークコイン収集の目的
では、アンティークコイン収集の目的は何でしょうか?
ここでは、主な理由を挙げてみましょう。
収集の理由
• 価格上昇狙い(投資/投機)
• 歴史を自分の手に収めるため
• コレクションとして
• 資産防衛として
• 教育用の題材として
価格上昇狙い(投資)
価格上昇で儲けたいというのは、とても分かりやすい理由です。
特定の種類のコインは、世界全体が不景気になっても価格が下落せず、ひたすら上昇を続けてきました。そこで、株・債券・FXなどに加えて、アンティークコインを投資対象に含めるという考え方が可能です。
特に最近数年間は、世界的なカネ余り状態を受けて、希少性のあるコインの価格が高騰しています。その流れに乗ろう!という試みです。
投資とも言えますが、投機的な側面があることも否定できないでしょう。
歴史を手中に収めるため
例えば、ナポレオン時代の歴史が大好きだとしましょう。主な情報源は、書籍・インターネット・現地に旅行して史跡を巡る、という感じになります。
この場合、知識や書籍等は積みあがっていきますが、「当時存在したもの」が手元にありません。もしかしたら、ナポレオンが着用した衣服などが売っているかもしれませんが、あまりに高額で手が出ないでしょう。
そういう時、当時のフランスや周辺国で流通した本物のコインを確保する、という手段が考えられないでしょうか。
もちろん、ナポレオン自身もその金貨や銀貨を手にしたことがあるでしょうし、当時の世界で生きた人々が使用し、現在に受け継がれてきたものです。
(下の金貨画像は日本コインオークションからの引用。ナポレオンの肖像が描かれています。)
コレクションとして
希少性があって種類も複数あるとなれば、コレクションしたいと考えるのは自然な発想です。
上で紹介しましたナポレオンの金貨ですが、上の40フランのほかに20フランもあります。また、銀貨で5フランもありますし、征服地(イタリア王国など)でもナポレオンの肖像が描かれたコインが発行されています。
こうして見ると、範囲はどんどん広がっていきますが、20フラン金貨と40フラン金貨を揃えれば、とりあえずは十分でしょう。
資産防衛として
資産防衛は、価格上昇で利益を狙う投資/投機と似ていますが、趣旨が少し異なります。
例えば、日本の拡張的な財政政策が後戻りできないレベルになってしまい、国民や世界の信任を得づらい状況(=インフレ高進)になる場合に、自分の資産をいかに守るか?といった保険的な考え方が、つまり資産防衛的な考え方です。
金貨や銀貨はそれ自体に価値があり、国による信用付けが不要です。そこで、国・通貨・その他の金融資産の信頼度が落ちる場合に備えて金貨・銀貨を所有する人々が存在します。
教育用の題材
これは、主に中高生向けの用途です。
フランス革命から第3共和政あたりの歴史など、入り組んでいて頭がパンクしそうになり、覚えられないケースは少なくないでしょう。
覚えられない理由として、情報が入り組んでいるのに加えて「具体的にイメージできないから」というのもあるはずです。教科書や問題集といった文字や絵だけだと、どうしても辛い場合があります。
そういう時に、アンティークコインの出番です。
当時のコインには、為政者の肖像や紋章が描かれていますので、それを購入します(アンティークコインは高価なイメージがありますが、数千円程度のものも数多くあります)。
コインを手に取り、誰がいつどこで発行したか、発行年に何があったか、肖像に書かれている人は何をしたか…といった内容を確認していきます。
その当時に流通していた貨幣の実物が自分の物になっていると、記憶の定着率が高まります(文章と絵だけでないリアルだから)。
受験等が終わったら、コレクションとして所有し続けても良いですし、換金しても構いません。あるいは、将来の値上がりを期待して保有し続けることもできます。
以上、アンティークコインを集める理由を5つ概観しました。決してお金儲けのためだけではない、様々な目的があると分かりますね。