FX取引などの特定の取引において年間の損益がマイナス(損失)となった場合、
その翌年以降3年間にわたりこれらの取引によって発生する利益から、
その損失額を控除することができます。
このことを損失の繰越控除といいます。
特定の取引とは、
・「日経225先物」などの株価指数先物取引
・「現物株」「株価指数」「商品」などのCFD取引
ただし、損失の繰越控除の適用を受けるためには、損失が生じた年の損失分を確定申告しておく必要があり、その後も継続して確定申告を行なう必要があります。
損失分を確定申告しないと翌年に20万円以上の利益が出た場合、課税対象になり、税金の払い損になるので、損失が出た場合でも確定申告するようにしましょう。
損失分を確定申告する場合としない場合でどのくらいの差が出るか説明します。
繰越控除が適用される場合
ある年に100万円の損失が発生し、損失分を確定申告した。
翌年に30万円の利益、翌々年に30万円の利益、
その次の年に40万円の利益となった場合、
過去3年間に遡った通算損益は
-100万円+30万円+30万円+40万円=0円となり、損益はプラスマイナスゼロになる。
損失を繰越控除することにより、各年の利益が過去の損失と相殺されるので、
翌年に30万円の利益が出た場合
-100万円+30万円=-70万円
100万円の損失繰越があり、利益の30万円を相殺しても-70万円の損失で課税対象になりません。
翌々年に30万円の利益が出た場合
-70万円+30万円=-40万円
70万円の損失繰越があり、利益の30万円を相殺しても-40万円の損失で課税対象になりません。
その次の年に40万円の利益が出た場合
-40万円+40万円=0円
40万円の損失繰越があり、利益の40万円を相殺しても0円で課税対象になりません。
繰越控除が適用されない場合
翌年に30万円の利益、翌々年に30万円の利益、
その次の年に40万円の利益となった場合、
過去3年間に遡った通算損益は
-100万円+30万円+30万円+40万円=0円
となり、損益面ではプラスマイナスゼロになる。
損失分の確定申告をしていないので、損失の繰越控除が適用されず、
翌年に30万円の利益が出た場合の税金
300,000 × 0.20315 = 60,945円
翌々年に30万円の利益が出た場合の税金
300,000 × 0.20315 = 60,945円
その次の年に40万円の利益が出た場合の税金
400,000 × 0.20315 = 81,260円
60,945円+60,945円+81,260円=203,150円(税金合計)
を支払うことになります。
損益面ではプラスマイナスゼロですが、税金を支払った分、マイナスになります。
損失が発生した場合でも忘れずに確定申告するようにしましょう。